「固定電話」とは、企業や事業所が利用するための固定電話回線のことで、一般家庭用のアナログ回線やISDN回線、光回線などと同様の回線形態でも、法人契約として会社名義で利用する仕組みを指します。
たとえば「事業に必要な電話番号を持って、社外からの問い合わせや連絡を受ける」「会社として信頼を得るために固定番号を取得する」といった場合に導入されるイメージです。基本的には「1本の電話回線に1台の電話機」という構成が一般的で、家庭用の固定電話と近い運用方法がとられます。
「ビジネスフォン」は単なる電話機を指す言葉ではありません。正式には「主装置(PBXと呼ばれる小型交換機)」と「専用の多機能電話機」を組み合わせ、会社やオフィスで複数の通話を同時に扱えるようにしたシステム全体を指します。
主装置に複数の回線や電話番号を収容し、例えば「代表番号に電話がかかってきたとき、使われていない回線を自動的に割り当て、複数台の電話機に同時着信させる」といった運用が可能です。
あるいは「部署ごとに別の電話番号を使い分けるが、着信時にどの番号宛かを自動判別して複数の電話機に鳴り分ける」など、家庭向けの固定電話よりも柔軟性の高い運用ができます。
ビジネスフォンと固定電話との違いは「一度に扱える通話の数や振り分け方法が多様である」という点です。固定電話は、基本的に「1回線につき1通話」の設計で、もし「着信が複数来る」「同時に何人も発信する」という環境下だと回線がすぐに足りなくなる恐れがあります。企業で問い合わせが頻繁に発生する場合は、代表番号が1つだけでは対応しきれないケースが多いため、ビジネスフォンでは、同時に対応できる通話数を設定し、効率的に運用する仕組みが重要になります。
ビジネスフォンの大きな特徴として、「内線」や「保留転送」機能があります。これは、家庭用電話機が備えているような単純な機能とは違い、「いったん外線通話を保留にして別の内線電話機に担当者を呼び出す」「部署間やフロア間で内線だけで無料通話する」など、業務を効率化するのに重要な機能が標準で利用できる点です。企業では「○○担当者あての電話」をほかの社員が一時的に取り、それを適切に取り次ぐ場面が日常的に発生するため、こうした機能のあるビジネスフォンが必須となります。
ビジネスフォンを導入する際には、本体(主装置や電話機)の購入費用や設置工事費がそれなりにかかります。主装置の容量(何台まで電話機をつなげるか)や機能、電話機の台数、さらには転送機能や録音機能などの付加機能の有無によっても予算が変わるため、事前に見積もりを取ることが大切です。
一度導入してしまえば「1回線を多人数で共有できる」「内線通話が無料で使える」といったランニングコストの削減につながる可能性が高く、むしろ長期的にはお得になるケースもあります。
インターネットを通じて主装置をクラウド化する「クラウドPBX」も普及しています。これは物理的な主装置をオフィスに置かず、クラウド上で同等の機能を運用し、各スタッフは手持ちのスマホなどから企業の代表番号を発着信できる仕組みです。工事が不要で導入ハードルが下がり、月額料金も抑えられます。
ここでは調査した20製品のうち、公式サイトに導入実績や実例を記載している信頼できるクラウドPBXの中から、
こだわり別におすすめのサービスを紹介します。
※2022年9月30日調査時点で、「クラウドPBX」とGoogle検索し表示されるクラウドPBX対応の会社20社のうち、導入実績や実例を公式サイトに掲載している10製品をピックアップ。そのなかで、公式HPで確認できる情報もとに以下の条件でこだわり別に各商品を選定しています。
■コスト・安さ=モバビジ(導入費用・月額費用が最も低価格だったため)
■システム連携=BIZTEL(連携できるシステム数が最も多かったため)
■導入スピード=CLOUD PHONE(導入までの日数が最も短期間だったため)
■導入実績=MOT/PBX(導入企業の社数が最も多かったため)
■音質=モバビジ(複数の機器で総務省判定基準クラスAを取得しているため)